現代のウィッカの成り立ち!世界観を理解するのが手っ取り早い第一歩です

学問の世界であれば、社会学的なアプローチによって集団を定義するのが良いように思えます。あるいは文化人類学がフィールドワークするように一定のグループに入り込んでレポートする方法も考えられます。

いずれにせよ、部外者が自分の知的な判断を優先させて理解しようとすると大きな勘違いを免れるのが困難になります。大切なのは所属している人たちが自分をどのように理解しているかという立場を保持することでしょう。

ウィッカと言っても世界中に拡大しているため、それぞれに大きな違いを持ちながら、ウィッカとして成立しているようです。そこで、彼ら、ウィッカの世界観を知るために、具体的に一つのグループが自己紹介している記事を参考にまとめることにしました。

ちなみに彼らが形成するコミュニティをコヴァンと呼んでいるようなので、この用語を用います。ここで中心的に扱うのは、アメリカに存在するケルト系のコヴァン、グループです。それでは…。

「神とすべての存在とともに、バランスと調和とを保った人生を指向する平和を目指す者たちである。」と定義しています。バランスと調和とを保った生き方はある意味トレンドですよね。私たちは一見違う言葉を使っていますが、同じ内容の言葉を広告媒体で頻繁に見かけます。

彼ら自身に宗教であるという感覚があるようで、宣言の中に神という用語が使われています。神というとき、日本人である私たちにはキリスト教の神が親しみあるでしょう。あるいは神道の神々でしょうか。ウィッカの神学を見るとどのような神を定義しているかがわかります。

具体的には「創造的超越者である神がすべての存在を統一している」と考えるようです。この場合の神はキリスト教・イスラム教的な唯一神を意味しません。男神と女神があり、だから世界は両性を持つ。と主張しています。比較的緩やかにどのような神への信仰も受け入れるようです。

ですから地獄といった概念は成立する余地がないようです。死後の世界をどのように考えているかといえば、死は終焉ではなく変容である、とします。この辺りの考え方は、とても現代的なものであるかのように感じます。

宗教的倫理性も備えていると主張しています。最も有名で、さまざまな資料で引用されている原則がウィッカの信条と呼ばれますが、「他者を害さない限り、自分の意思をおこなえ」というものです。他者に有害であるという歴史的魔術理解に対する警戒が織り込まれているようです。

彼らは宗教的に魔術と付き合うのですが、その場合の魔術とは何かについて簡単に言ってしまえば、古代ギリシャ的五大元素に世界を還元して理解する思考にたどり着きます。ピタゴラス教団から始まり、アリストテレス的存在論がネオプラトニズムによって神秘化したものかもしれません。

ウイッカは、そのような古代の魔女術から発展した魔術儀式を取り入れた、現代宗教であるということになるでしょう。このように彼らには宗教性があるのですが、このことを彼ら自身は次のように表現します。

「ウィッカは自然の営みを愛する」同時にキリスト教徒対立する宗教性を強調します。彼らはキリスト教が提示する神ではなく、古来の伝説的な神々の名を探しだし、それっぽい祭儀を案出して、集会を盛り上げます。そういえば、日本でも取り上げられ、盛り上がるハロウィーンは彼らの精神に適うものの一つですね。

しかしウィッカはカルトではないとも主張します。どのような点でカルトではないと根拠付けしているかを見ると、追従するべき教祖を持たない、神々の代弁者ではない、従って犠牲を捧げず、他者の人生を支配せず、呪いを掛けないという事に集約されるようです。