子供だましか?妖しい雰囲気たっぷりな「魔術書」の世界を覗いてみたら

実際に魔法なるものを実践してみようと思い立ったなら、必要なのはそのためのガイドブックでしょう。教科書や参考書などが必要かも知れません。簡単なムック本とかがあれば、気楽なお試しが可能になります。

ここでは日本で出版されている魔術書の副題を見て、どのような目的を魔法に見ているのかを観察してみましょう。いわく「なりたい自分になるための」、「魔女力を高める」、「自然のパワーで幸せを呼ぶ」などとあり、願いや恋を叶えるなどと、いずれも女性をターゲットにしているように思えます。

さらに内容からキーワードを拾うと、自然が生み出すパワー、クラフト、儀式、自然魔法、キャンドルマジック、ムーンマジック、ハーブ、アロマ、パワーアイテム、占い、おまじないとなっています。確かにウイッカンが実践する魔法の一部になっています。ウイッカであることを明確にせず、魔術の技法を単品で切り売りしているのですから、効果が出たりなかったりするのは当たり前でしょう。

魔術が謳歌したルネッサンス時代はグリモワールの世界ですが、その中でも特に有名なのは次の3冊ということになりそうです。いずれも現代魔術に受け継がれている直接的祖先のようなものに思えます。

まずは『ソロモンの鍵』です。題名にあるソロモンとは古代ユダヤの王の名前です。彼が知恵を用いてユダヤの国を富ませたエピソードが魔術的イマジネーションを刺激したのでしょう。多くの異本がありますが、降霊術、七惑星の図形、祈祷文、魔術道具の作成や占星術的知識などが書かれています。

次に『ソロモンの小さな鍵』です。別名『レメゲトン』ですが、「ゴエティア」なる魔術書を含んでいます。ゴエティアはソロモンが使役したという72人の悪魔を召喚する手順を記しています。これはヘレニズム期にユダヤ人の中で流布していた伝説を元にしているようです。

最後に『黒い雌鳥』は、悪魔召喚の儀式と呪文が書かれています。その中には卵を産んだことがない雌鳥を引き裂いて呪文を唱えるといった具体的手順が記載されているようですが、この呪文のみが日本ではアニメや小説で用いられたりして有名です。

さらに少し遡るならば、中世起源のグリモワールに当たってみるのがお勧めですが、ここまで来るとかなり学術的色彩が強くなるようです。例えば『ホノリウスの誓いの書』はエウクレイデスの子ホノリウスによって書かれたとされる降霊術の手引きですが、14世紀のラテン語写本が現存していますから、ラテン語の知識が必要でしょう。

また『アルス・ノトリア』には天使がソロモンに授けたという祈りの文言や図版、聖別の儀式が掲載されています。これらは知識・言語の獲得、記憶術、幻視体験などが目的です。

そして『精霊の職務の書』は偽ソロモン文書のひとつとされています。悪例を列挙し、それぞれの特徴と役割を記しています。これはレメゲトンに似た内容ですね。現存しないが複数の古典文献が参照文献として挙げています。現存しないのは残念な限りです。

さらに『アルマンデル』もソロモンの魔術書の一つ。四方の天使を召喚します。15世紀のドイツ語版とラテン語版が残されているそうです。『ピカトリクス』は既に触れました。フィチーノらルネサンス自然魔術の典拠です。『天使ラジエルの書』には天使ラジエルがアダムに啓示した内容を記録しています。

これは『セーフェル・イェツラー』などユダヤ教古典文書に依拠しているようで、『セーフェル・イェツラー』は形成の書という意味で、ユダヤ教神秘主義思想カバラの基本文献です。天使学、黄道十二宮の用法、ゲマトリア、「神」の名、防護の呪文、癒やしのお守りなどが内容です。

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